解説
- 骨吸収抑制作用を持つビスホスホネート(Bisphosphonate: BP)製剤に関連する顎骨壊死(Bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw: BRONJ)や抗RANKL(Receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand)抗体のデノスマブ(Denosumab)に関連する顎骨壊死(Denosumab-related osteonecrosis of the jaw: DRONJ)を包括して骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(Anti-resorptive agents-related osteonecrosis of the jaw:ARONJ)という。
- BP製剤やデノスマブに限らず、血管新生抑制薬(bevacizumab、sunitinib、rapamycin、Sorafenib tosylateなど)を含めた薬剤の副作用による顎骨壊死(Osteonecrosis of the jaw: ONJ)を薬剤関連顎骨壊死(Medication-related ONJ: MRONJ)ということもある。
ARONJの診断
以下の3項目を満たすこと。
- BP製剤またはデノスマブによる治療歴がある。
- 顎骨への放射線照射歴がない。また骨病変が顎骨へのがん転移ではないことが確認できる。
- 医療従事者が指摘してから8週間以上持続して口腔・顎・顔面領域に骨露出を認める、または口腔内、あるいは口腔外の瘻孔から触知出来る骨を8週間以上認める。ただしステージ0に対してはこの基準は適用されない。
その他
- 顎骨壊死検討委員会※ポジションペーパー2016に、リスク因子、ステージ分類、ステージングに応じた治療指針が記載されている。
- 近年では外科療法(保存的外科療法を含む)が多く行われるようになったが、切除した骨はすべて詳細な病理組織学的検査を行うよう記載されている。
- 顎骨壊死検討委員会
日本臨床口腔病理学会を含め、日本骨代謝学会、日本骨粗鬆症学会、日本歯周病学会、日本歯科放射線学会、日本口腔外科学会の6 つの学会の共同のもとに、骨研究を専門とする口腔病理医を含め、内科医、整形外科医、リウマチ医、産婦人科医、腫瘍内科医、口腔外科医、歯周病医、歯科放射線科医、腫瘍生物学者から構成される。