解説
臨床事項
- 中年女性の下顎臼歯部に好発する。
- 左右両側性に発生する傾向がある。
- 上下顎骨に多発することがある。
- 無症状であることが多い。
- 初期は骨透過像を示し、硬組織形成に伴い、広範囲に不透過像を認める。
- 顎骨骨幹異形成症の部分症のこともある。
病理組織所見
- 線維性結合組織内に無細胞性セメント質(原生セメント質)様硬組織の塊状形成や骨様硬組織形成がみられる。
- 放射状裂隙がみられる。
- 介在する線維性結合組織の量は少ない。
- セメント質様ないし骨様硬組織で占められる。
- 根尖部セメント質や周囲骨と連続する。
その他
- 本疾患は、骨形成線維腫、線維性(骨)性異形成症や家族性巨大型セメント質腫などと共に、顎骨のいわゆる線維骨性病変(Fibro-osseous lesions)に属する。
- 従来、巨大型セメント質腫(Gigantiform cementoma)とよばれ、セメント質腫として扱われていた。
- 二次的に骨髄炎(びまん性硬化性骨髄炎)が生じることもある。
- 家族性に発生する遺伝性疾患は、家族性巨大型セメント質腫とよばれ、独立して扱われる。
鑑別疾患
- 骨形成線維腫
- 線維性(骨)性異形成症
- 家族性巨大型セメント質腫
代表画像
パノラマX線画像
- ガイド無し
- ガイド有り
左右の下顎臼歯部には不規則な塊状のX線不透過像がみられ、その周囲には透過像が認められる。
左右の下顎臼歯部には不規則な塊状のX線不透過像がみられ、その周囲には透過像(矢印)が認められる。
開花性セメント質骨性異形成症(弱拡大)
線維性結合組織内に無細胞性セメント質(原生セメント質)様硬組織の塊状形成や骨様硬組織形成がみられ、互いの癒合も認められる。
開花性セメント質骨性異形成症(強拡大)
線維性結合組織内に無細胞性のセメント質様硬組織の塊状形成や骨様硬組織形成がみられ、互いの癒合も認められる。
原生セメント質類似の多数の球状や癒合し塊状となった硬組織が認められ、内部には放射状の裂隙がみられる。