Langerhans細胞組織球症 Langerhans cell histiocytosis

歯槽骨・顎骨の病変

解説

Langerhans細胞(組織球、histiocyte)の浸潤・増殖を共通の組織学的特徴とする。この細胞は抗原提示細胞と考えられている。Letterer‐Siwe病、骨の好酸球性肉芽腫、Hand-Schüller-Christian病の3疾患をまとめた総称(Histiocytosis Xともいう)。 反応性病変とする考えと腫瘍性病変とする考えがある。

顎骨の好酸球性肉芽腫(Eosinophilic granuloma of jaw bone)

臨床事項

  • 病因は不明である。
  • 若年者に多く、成人にも発症する。
  • 3疾患の中でもっとも予後が良い。
  • 歯肉腫脹・骨の膨隆と疼痛が初発症状として多い。
  • X線で浮遊歯、顎骨の船底型吸収がみられる。
  • 頭蓋骨の打ち抜き像(punched out appearance)、下垂体後葉の圧迫による尿崩症・眼窩内腫瘤による眼球突出をあわせて3主徴候とする。
  • 脂質代謝異常がみられる。

病理組織所見

  • 豊富な細胞質と明るい大型の核を有する組織球様細胞と好酸球様細胞を多く含む肉芽腫が認められる。
  • 核異型や多核細胞をみることがある。

代表画像

パノラミクス像

下顎右側中切歯から犬歯の根尖に舟底型の骨吸収像が認められる。

デンタルX線画像

境界明瞭な骨破壊像がみられ、右側下顎中切歯と側切歯は浮遊状歯となっている。

Langerhans細胞組織球症(弱拡大)

好酸球浸潤が著明な肉芽腫形成がみられる。

Langerhans細胞組織球症(強拡大)

組織球の増殖を主とする肉芽腫に好酸球浸潤が認められる。