解説
形質細胞がモノクローナルに増殖する腫瘍である。腫瘍性形質細胞はモノクーナルな異常γグロブリン(Mタンパク)を産生し、血中に増加する。尿中にも免疫グロブリン軽鎖(κ鎖、λ鎖)が検出され、ベンスジョーンタンパクという。
臨床事項
- 骨髄に原発するが、多臓器を侵す疾患である。
- 骨折、頭痛、高カルシウム血症、貧血や腎障害がみられる。
- 血清中にMタンパク、尿中にベンスジョーンタンパクが認められる。
- 骨外性形質細胞腫から移行するものや骨孤立性形質細胞腫の治療後に再発して移行する場合がある。
病理組織所見
- 細胞質が楕円形で広く、核が偏在し、正常な形質細胞に類似した腫瘍細胞の増殖からなる。
- 腫瘍細胞では2核化(多核化)が認められる。
- κ(カッパ)、λ(ラムダ)の免染染色により単クローン性が確認される。
- 舌などの口腔粘膜にアミロイドーシスがみられることがある。
鑑別疾患
- 原発性マクログロブリン血症
- 全身性アミロイドーシス(口腔では舌に好発)
代表画像
パノラマX線画像
右側下顎には境界明瞭な透過像がみられ、内部の下顎管の走行は不明瞭である。
デンタルX線画像
透過像の内部は不均一で、辺縁は不整である。
骨シンチグラフィ(99mTc-MDP)
右側下顎骨、右側上腕骨および右側大腿骨体中央部に集積像が認められる。
頭部X線画像
頭蓋骨の打ち抜き像(punched out appearance)が認められる。
多発性骨髄腫(形質細胞性骨髄腫)
腫瘍性形質細胞の増殖が認められ、クロマチンの粗造な核もみられる。