解説
類骨ないし骨形成を特徴とする腫瘍細胞が増殖する悪性腫瘍である。
臨床事項
- 下顎臼歯端部に好発する。
- 全骨肉腫の5−7%程度が顎骨に発生する。
- 顎骨における好発年齢は30〜40歳代や高齢者(他部位の好発年齢よりも高い)である。
- 有痛性膨隆を主症状とし、骨破壊を伴い急速に増大する。
- 歯の弛緩動揺や位置異常の他、下歯槽神経や眼窩下神経などに影響して知覚異常や視覚障害がみられる。
- 骨吸収破壊による境界不明瞭なX線透過像を示す。
- 骨形成や石灰化の程度により種々の程度の不透過像が混在する。
- 骨膜下に発生すると放射状の反応性骨増生像である旭日像 Sun-ray appearance がみられる。
- 半円弧状の骨膜反応としてのコッドマン三角 Codman's triangle を示すことがある。
病理組織所見
- 骨髄内に発生するもの
- 骨形成性、軟骨形成性、線維形成性がある。
- 異型性の明らかな紡鍾形ないし多角形の腫瘍細胞が増殖し、直接類骨ないし骨形成がみられる。
- 通常型骨肉腫の病理組織像を呈し、骨破壊膨隆をきたす。
- 骨表面に発生するもの
- 傍骨性、骨膜性、高悪性度表在性がある。
- 傍骨性は比較的成熟した骨梁や紡鍾形の腫瘍細胞からなり、悪性度は低い。
- 骨膜性は軟骨性骨肉腫の病理組織像を呈し、悪性度は中等度である。
- 高悪性度表在性は通常型骨肉腫の病理組織像を呈する。
鑑別疾患
- 軟骨肉腫
- 線維肉腫
- Malignant Fibrous Histiocytoma
- 動脈瘤様骨囊胞
- 巨細胞腫