解説
発育時に外胚葉組織が封入されて生じる囊胞である。
臨床事項
- 口腔領域では比較的まれである。
- 20歳前後の口底正中部に好発する。
- 発生部位による分類
- 舌下型
囊胞の発育に伴って舌の挙上をきたす。 - オトガイ下型
オトガイ舌骨筋ないし顎舌骨筋とオトガイ部皮膚との間に発生して皮膚の膨隆をきたす。
- 舌下型
- 囊胞腔内には角化物(おから状物質)が充満する。
病理組織所見
- 囊胞壁内面は角化重層扁平上皮により裏装され、上皮下は線維性結合組織からなる。
- 囊胞腔内に層状、鱗片状、羽毛状の角質物が充満する。
- 裏装上皮下の線維性結合組織に皮膚付属器を認めない。
鑑別疾患
ラヌーラ(ガマ腫)、リンパ上皮性囊胞、甲状舌管囊胞
代表画像
オトガイ型
オトガイ正中部に境界明瞭、可動性、被圧縮性の腫瘤が認められる。
類表皮囊胞(弱拡大)
- ガイド無し
- ガイド有り
内面は正角化重層扁平上皮で裏装され、腔内には角質物質が充満している。
内面は正角化重層扁平上皮(矢印)で裏装され、腔内には角質物質(★)が充満している。
類表皮囊胞(強拡大)
囊胞壁は顆粒層を伴う正角化型重層扁平上皮で裏装され、上皮下は線維性結合組織からなる。
囊胞壁には皮膚付属器は認められない。