解説
歯原性の炎症性囊胞で、原因歯は失活あるいは根管治療がなされている。
根尖性歯周炎、歯根肉芽腫などに続発する。
根尖部歯周組織の破壊に対する肉芽組織を介した修復組織である。
臨床事項
- 上顎前歯や下顎第一大臼歯に多い。
- 原因歯は失活歯である。
- 増大すると顎骨の膨隆、皮質骨の菲薄化をきたし、羊皮紙様感や波動を触知するようになる。
病理組織所見
- 内面は非角化扁平上皮で裏装される。
- 上皮下(中層)はリンパ球や形質細胞の浸潤を伴う肉芽組織からなる。
- 外層は線維性結合組織からなり、菲薄化した骨片もみられる。
- 囊胞壁中にはコレステリン裂隙がみられる。
- ラシュトン硝子様小体をみることがある。
- 囊胞壁は原因菌の根尖部に連続する。
鑑別疾患
慢性歯槽膿瘍、歯根囊胞
代表画像
パノラマX線画像
- ガイド無し
- ガイド有り
根管治療がなされた下顎左側第一大臼歯の歯根尖部に単房性透過像がみられる。
根管治療がなされた下顎左側第一大臼歯の歯根尖部に単房性透過像がみられる。(破線内)
歯根囊胞(弱拡大)
- ガイド無し
- ガイド有り
囊胞壁は歯根尖を囲む。
囊胞壁は非角化重層扁平上皮、肉芽組織および線維性結合組織の3層構造からなる。
裏装上皮は炎症の程度により不規則に増殖する。
囊胞壁は歯根尖(★)を囲む。
囊胞壁は非角化重層扁平上皮、肉芽組織および線維性結合組織の3層構造からなる。
裏装上皮は炎症の程度により不規則に増殖する。(破線)
歯根囊胞(中拡大)
- ガイド無し
- ガイド有り
囊胞壁は非角化重層扁平上皮で裏装され、中層は肉芽組織からなり 、外側は線維性結合組織からなる。
囊胞壁は非角化重層扁平上皮で裏装され、中層は肉芽組織からなり(▲) 、外側は線維性結合組織からなる。(■)
- ガイド無し
- ガイド有り
囊胞腔内には血液、針状のコレステリン裂隙や炎症性細胞を含む液性物を容れる。
裏装上皮は肉芽組織中に索状をなして増殖する。
囊胞腔内には血液(★)、針状のコレステリン裂隙(▲)や炎症性細胞を含む液性物を容れる。
裏装上皮は肉芽組織中に索状をなして増殖する。(破線)