解説
胎生期の甲状舌管の遺残に由来する囊胞である。
臨床事項
- 甲状腺と舌盲孔との間に発生する。
- 舌骨下部の正中頸部に好発するが、正中でない場合もある。
- 10歳以下が約半数で、性差はない。
- 波動を触知する柔らかな囊胞である。
病理組織所見
- 囊胞壁内面は重層扁平上皮(口腔に近接した場合)あるいは線毛円柱上皮(下部の場合)で裏装される。
- 上皮下は線維性結合組織からなる。
- 結合組織には迷入した甲状腺組織がみられる場合もある。
鑑別疾患
ラヌーラ(ガマ腫)、類皮囊胞、類表皮囊胞
代表画像
舌骨付近の膨隆
甲状舌管囊胞(弱拡大)
- ガイド無し
- ガイド有り
線毛円柱上皮で裏装され、上皮下は線維性結合組織からなる囊胞壁である。
線維性結合組織中には甲状腺の濾胞構造がみられる。
線毛円柱上皮で裏装され、上皮下は線維性結合組織からなる囊胞壁である。
線維性結合組織中には甲状腺の濾胞構造(★)がみられる。
甲状舌管囊胞(強拡大)
囊胞壁は粘液細胞を含有する線毛円柱上皮で裏装され、外層は線維性結合組織からなる。
甲状舌管囊胞(甲状腺濾胞構造)
- ガイド無し
- ガイド有り
大小の甲状腺濾胞構造が認められる。
大小の甲状腺濾胞構造(★)が認められる。