解説
咬合・咀嚼の機械的作用により、上下顎歯列の咬合面や隣接面が損耗することである。
臨床事項
- 不正咬合、歯ぎしり、習慣性片咀嚼癖、硬い食物の摂取などが原因である。
- 咬耗面は平坦あるいは陥凹状で、表面滑沢である。
- 切歯切縁、犬歯咬頭、臼歯咬頭に好発する。
病理組織所見
- 咬耗面直下に不透明象牙質(Opaque dentin)がみられる。
- 歯髄に第三象牙質(病的第二象牙質)の形成がみられる。
- 不透明象牙質(Opaque dentin)
研磨標本の透過光線で暗黒色調にみえる。
トームス線維は変性・崩壊し、デッドトラクト(Dead tracts)とよばれる。
代表画像
上顎前歯部の咬耗症
- ガイド無し
- ガイド有り
上顎前歯部の咬耗がみられ、象牙質が露出する。
咬耗面に象牙質の露出がみられる(矢印)。
切縁部の咬耗(研磨標本)
- ガイド無し
- ガイド有り
象牙質の露出した切縁面から歯髄腔に向かって帯状の黒色の不透明象牙質が認められる。
歯髄では、第三象牙質の形成がみられる。
象牙質の露出した切縁面から歯髄腔に向かって帯状の黒色の不透明象牙質(★)が認められる。
歯髄には、第三象牙質(TD)の形成がみられる。
- E:エナメル質
- D:象牙質