解説
慢性潰瘍性歯髄炎の露出した歯髄に刺激が加わり、肉芽組織が歯髄腔から齲窩内に外向性にポリープ状（歯髄ポリープ、歯髄息肉）に増殖した歯髄炎である。
臨床事項
- 齲窩内にポリープ状に増殖する肉芽組織を認める。
- 自覚症状は軽度である。
- 食物残渣などで齲窩が閉鎖されると疼痛が発現する。
- 乳歯や根未完成永久歯に多い（十分な血液供給が可能な環境）。
病理組織所見
- 表層は潰瘍状をなしてフィブリンで覆われる場合や上皮で被覆される場合がある。
- ポリープの表層は毛細血管の充血や滲出が目立つ幼若肉芽組織で、深部は線維化が進行している。
代表画像
歯髄ポリープ（弱拡大）
- ガイド無し
- ガイド有り
歯髄面から肉芽組織が齲窩内にポリープ状に増殖する。
歯髄面から肉芽組織が齲窩内にポリープ状に増殖する（★）。
歯髄ポリープ（中拡大）
肉芽組織が齲窩内に増殖する。
歯髄ポリープ（強拡大）
表層部には高度な好中球浸潤がみられ、内部はリンパ球や形質細胞浸潤を伴う肉芽組織からなる。
乳臼歯の歯髄ポリープ（弱拡大）
歯髄から齲窩内に肉芽組織がポリープ状に増殖している。
乳臼歯の歯髄ポリープ（強拡大）
- ガイド無し
- ガイド有り
表層が重層扁平上皮で覆われたタイプで、上皮下はリンパ球、形質細胞浸潤を伴う肉芽組織が認められる。
表層が重層扁平上皮（矢印）で覆われたタイプで、上皮下はリンパ球、形質細胞浸潤を伴う肉芽組織（★）が認められる。