薬物性歯肉増殖症 Drug-induced gingival overgrowth

歯髄および歯周組織の病変・根尖性歯周組織疾患

解説

各種薬剤の服用により歯肉の増殖がみられるもの。

臨床事項

  • 乳頭部歯肉に生じる。
  • 過度に増生すると歯の埋没、歯の移動などをきたす。
  • 歯垢などの起炎因子による修飾も指摘される(薬剤の副作用+プラークの付着)。
  • 誘発しやすい薬剤
    1. フェニトイン(抗てんかん薬)
    2. ニフェジピン(カルシウム拮抗薬)
    3. シクロスポリン(免疫抑制薬)

病理組織所見

  • 線維性結合組織の増生がみられる。
  • 上皮脚の細い索状伸長がみられる。
  • 軽度の慢性炎症細胞浸潤がみられる。

代表画像

高度な歯肉増殖症

降圧剤(カルシウム拮抗薬)を長期服用しており、歯間乳頭部歯肉の腫大と歯の移動が認められる。

薬物性歯肉増殖症

歯肉増殖症の切除標本

高度な増生を示す線維性結合組織

  • ガイド無し
  • ガイド有り

上皮脚は不規則、細い索状に伸長し、上皮下には線維性結合組織の増生が認められる。

炎症細胞浸潤はごく軽度である。

上皮脚は不規則、細い索状に伸長し(矢印)、上皮下には線維性結合組織の増生(★)が認められる。

炎症細胞浸潤はごく軽度である。

薬物性歯肉増殖症

線維性結合組織(膠原線維束)の密な増生が認められる。