抜歯創の治癒 Healing of extraction wound

歯髄および歯周組織の病変・根尖性歯周組織疾患

解説

抜歯創の治癒過程では、多量の肉芽組織が形成されるため、二次的治癒の形態をとる。

病理組織所見

  • 治癒過程は4期に分けられる。
    1. 凝血期
    2. 肉芽組織期
    3. 仮骨期
    4. 治癒期
凝血期
肉芽組織期
仮骨期
治癒期

その他

  • ドライソケット
    凝血塊消失により肉芽組織の形成が不十分で、 歯槽骨が露出した状態になる(抜歯窩歯槽骨の骨炎)。
    臨床的には、炎症症状が強く、激痛を伴う。

代表画像

イヌ抜歯直後(脱灰標本):凝血期

  • ガイド無し
  • ガイド有り

抜歯窩内は凝血塊で満たされる。

抜歯窩内は凝血塊(★)で満たされる。

凝血期

凝血期の拡大像

イヌ抜歯後3日(脱灰標本):肉芽組織期(ヒトでは抜歯後1~3週に相当)

  • ガイド無し
  • ガイド有り

凝血塊は肉芽組織に置換される。

側壁には類骨の形成がみられる。

歯槽骨頂部では骨吸収が始まり、鋭縁の平滑化が認められる。

歯肉上皮は増殖により、創の閉鎖傾向がみられる。

凝血塊は肉芽組織(★)に置換される。

側壁には類骨の形成がみられる。

歯槽骨頂部では骨吸収が始まり、鋭縁の平滑化が認められる。

歯肉上皮は増殖により、創の閉鎖傾向がみられる。

肉芽組織期

肉芽組織期の拡大像。

毛細血管(黄矢印)、線維芽細胞(黒矢印)および炎症細胞(★)から構成される肉芽組織。

イヌ抜歯後7日(脱灰標本):仮骨期(ヒト抜歯後3~4週に相当)

  • ガイド無し
  • ガイド有り

抜歯窩は、底部や側壁から中心部に向けて新生骨梁で満たされつつある。

抜歯窩は、底部や側壁から中心部に向けて新生骨梁(矢印)で満たされつつある。

仮骨期

仮骨期の拡大像。
新生骨梁の形成(矢印)が認められる。

イヌ抜歯後28日(脱灰標本):治癒期(ヒトの抜歯後5週以降に相当)

  • ガイド無し
  • ガイド有り

新生骨梁は徐々に太さを増しつつあり、創縁が閉鎖した歯肉上皮下には膠原線維の増生が認められる。

歯槽頂部の骨はさらに平坦化がみられる。

新生骨梁(★)は徐々に太さを増しつつあり、創縁が閉鎖した歯肉上皮下には膠原線維の増生が認められる。

歯槽頂部の骨はさらに平坦化がみられる。

治癒期

治癒期の拡大像。

新生骨(★)。

治癒期の拡大像。

周辺の歯槽骨(AV)と同様の成熟骨から構成される新生骨・骨梁(★)。