解説
炎症が歯肉に限局することなく他の歯周組識に波及し、アタッチメントロスや歯槽骨の吸収を伴う疾患である。
臨床事項
- 成人に多く、罹患率と重症度は年齢とともに増す。
- 歯周ポケットの形成がみられる。
- プラークや歯石がみられる。
- 歯肉退縮、歯根露出、歯の動揺が認められる。
- 歯肉の発赤、腫脹、出欠、排膿がみられる。
- エックス線で歯槽骨の吸収が認められる。
病理組織所見
- 歯周ポケット上皮では上皮脚の索状伸長、上皮内への好中球浸潤、上皮下にはリンパ球、形質細胞の浸潤がみられる。
- 歯周ポケット部の歯肉線維の融解が認められる。
- 歯根膜線維は緊張性を失い、徐々に融解がみられる。
- 歯槽骨では破骨細胞による吸収が認められる。
代表画像
健康な歯周組織
付着上皮はエナメルセメント境に接着。
C:セメント質
D:象牙質
E:エナメル質(標本作成時の脱灰処理によって消失)
慢性歯周炎
- ガイド無し
- ガイド有り
高度な炎症性細胞浸潤、歯肉溝の深化(歯周ポケット)、歯槽骨の吸収による消失が認められる。
高度な炎症性細胞浸潤、歯肉溝の深化(歯周ポケット、矢印)、歯槽骨の吸収による消失が認められる(もともと歯槽骨があった部位を破線で示す)。