解説
顎骨の歯の植立領域で歯根膜に関連して発生する歯原性腫瘍である。
臨床事項
- 下顎臼歯部に好発する。
- 30~40歳代の女性に多い。
- 発育緩慢で顎骨に無痛性の膨隆をきたし、皮質骨の菲薄化がみられるようになる。
- X線では周囲に一層の透過帯を伴い、境界明瞭な透過性病巣に不規則な不透過像(硬組織形成量に応じて)の混在が認められる。
病理組織所見
- 細胞成分に富む線維性結合組織が増生する中にセメント質様ないし骨様の硬組織形成がみられる。
- 形成された硬組織周囲には骨芽細胞様細胞の縁取りが認められるとされるが、明らかでない場合もある。
- 周囲の既存骨との境界は明瞭であり、境界が不明瞭な線維性(骨)異形成症と鑑別される。
鑑別疾患
- 非歯原性の骨形成線維腫
- 若年性砂粒様骨形成線維腫
- 若年性骨梁状骨形成線維腫
- 線維性(骨)異形成症
- セメント質骨性異形成症
- 根尖性セメント質骨性異形成症
- 限局性セメント質骨性異形成症
(根尖性セメント質骨性異形成症と同様の組織像を示し、臼歯部の根尖に生じるもの) - 開花性セメント質骨性異形成症
- 家族性巨大型セメント質腫
代表画像
セメント質骨形成線維腫
線維性結合組織内には線維骨やセメント質様硬組織が認められる。