解説
口腔常在菌であり、病原性の弱い嫌気性菌の放線菌属細菌(主としてActinomyces israelii)の混合感染症である。
臨床事項
- 炎症や抜歯などの外科処置などを誘因として発症する。
- 青壮年期に多く、男性が女性の2倍の頻度である。
- 顎骨内に生じたものは顎放線菌症といわれ、下顎大臼歯部に多い。
- 開口障害、板状硬結、多発膿瘍がみられる。
- 膿瘍は自壊し、排膿が認められるようになる。
- 膿汁内に黄白色の菌塊(Druse)が認められる。
病理組織所見
- 病期により急性化膿性炎から慢性炎まで認められる。
- 高度な好中球浸潤からなる膿瘍の中に菌塊(ドルーゼ、Druse)が認められる。
- 菌塊の表面にはエオジン好性の棍棒体が認められる。
- 菌塊表面にはGrocott染色で黒色に染まり放射状に延長する菌糸がみられる。
鑑別疾患
非特異的な化膿性炎
- Key words
- 菌塊
代表画像
顎放線菌症の口腔外所見
発赤と腫脹がみられる。
放線菌塊(弱拡大)
高度な好中球浸潤からなる膿瘍中にヘマトキシリン好性の菌糸からなる不定形の菌塊が認められる。
放線菌塊(強拡大)
- ガイド無し
- ガイド有り
ヘマトキシリン好性の菌塊の表面にはエオジン好性の棍棒体がみられ、その先端には好中球が付着する。
ヘマトキシリン好性の菌塊の表面にはエオジン好性の棍棒体がみられ(白矢印)、その先端には好中球が付着する(黄矢印)。
腐骨とその周囲の放線菌塊
- ガイド無し
- ガイド有り
改造線を伴う腐骨の周囲にヘマトキシリン好性の菌塊が認められる。
腐骨(★)とその周囲の放線菌塊(▲)
改造線を伴う腐骨の周囲にヘマトキシリン好性の菌塊が認められる。