解説
Aspergillus(主にAspergillus fumigatus)の感染によって生じる。
臨床事項
- 副鼻腔、特に上顎洞に病巣を形成する。
- 上顎洞アスペルギルス症の特徴
- 40-50歳代の女性に好発する。
- 炎症症状や鼻閉などが主症状である。
- 限局性(非侵襲性)では予後良好である。
- 侵襲性では急速に進行し、重篤化する。
- アレルギー性では、アレルギー性ムチンがみられる。
病理組織所見
- 洞内容物は菌糸が密に絡み合い、真菌球(fungus ball)がみられる。
- 菌糸は隔壁を有し、Y字型で、分岐角は45°である。
- Grocott染色で黒色に染まる。
- 洞粘膜上皮はしばしばびらん、潰瘍を呈する。
- 間質は浮腫性で、マクロファージを混じる高度な炎症性細胞浸潤がみられる。
- アレルギー性では、粘土状のアレルギー性ムチンの中に好酸球、シャルコー・ライデン結晶が菌糸とともにみられる。
代表画像
CT像
- ガイド無し
- ガイド有り
左側上顎洞には軟組織陰影がみられ、内部に石灰化物が認められる。
左側上顎洞には軟組織陰影(破線内)がみられ、内部に石灰化物(矢印)が認められる。
Grocott染色
中空状、隔壁を有し、Y字型をなす菌糸や胞子が認められる。
上顎洞粘膜
- ガイド無し
- ガイド有り
上皮は剥離し、間質は浮腫性で高度な炎症性細胞浸潤が認められる。
上皮(黄矢印)は剥離し、間質は浮腫性で高度な炎症性細胞浸潤が認められる。
真菌球(fungus ball)のGrocott染色
中空状で隔壁を有する菌塊が認められる。
真菌球(fungus ball)のPAS染色像
中空状で隔壁を有する菌塊が認められる。