解説
Herpes simplex virus(HSV)の感染および潜伏したウイルスの再活性化により生じる水疱性疾患である。
臨床事項
- 感染経路は、唾液の飛沫あるいは接触である。
- 前駆症状(軽度の発熱など)の後に、口腔粘膜や口唇に多数の小水疱の集簇を生じる。
- HSV-1は口腔に、HSV-2は性器に分布する。
- 一次感染:主に子供にヘルペス性歯肉口内炎として生じる。
- 回帰感染:初感染後の抗体をもつヒトに口唇ヘルペスとして生じる。
- 口腔粘膜の小水疱は破れやすく、びらん・潰瘍を形成して気づくことが多い。
病理組織所見
- 上皮内に水疱形成が認められる。
- 水疱が破れるとびらんがみられ、粘膜固有層に炎症性細胞浸潤が認められる。
鑑別疾患
帯状疱疹、手足口病、ヘルパンギーナ
代表画像
下唇の単純疱疹
- ガイド無し
- ガイド有り
紅斑を伴う複数のびらんが認められる。
紅斑を伴う複数のびらんが認められる(矢印)。
口角部の単純疱疹
小水疱の集簇が認められる。
口唇全体の単純疱疹
- ガイド無し
- ガイド有り
水疱は破れ、びらん・潰瘍の形成や痂皮が認められる。
水疱は破れ、びらん・潰瘍の形成(青矢印)や痂皮(黄矢印)が認められる。