脂肪腫 Lipoma

口腔粘膜疾患

解説

成熟脂肪細胞の増殖からなる非上皮性良性腫瘍である。

アルコール多飲者で両側性にみられる場合には多発性対称性脂肪腫症(Madelung病)が考えられる。

臨床事項

  • 頬粘膜部、舌、口底に好発する。
  • 成人では40歳以上に多い。
  • 発育は緩徐である。
  • 弾性軟の腫瘤状病変としてみられる。

病理組織所見

  • 成熟脂肪細胞の分葉状増殖が認められる。
  • 菲薄な線維性被膜が認められる。
  • 腫瘍細胞は大きな細胞質と圧排され偏在する核を有する。

鑑別疾患

外傷性偽脂肪腫、脂肪肉腫

代表画像

切除組織の割面

  • ガイド無し
  • ガイド有り

粘膜上皮下の腫瘍は黄色調を呈する。

粘膜上皮(★)下の腫瘍は黄色調を呈する。

脂肪腫(lipoma)(弱拡大)

粘膜上皮下から筋層内に及ぶ脂肪細胞の増殖がみられる。

脂肪腫(lipoma)(中拡大)

腫瘍は成熟脂肪細胞からなり、周囲被膜から連続する線維性隔壁により分葉状をなす。

脂肪腫(lipoma)(強拡大)

腫瘍は成熟脂肪細胞からなり、細胞質は拡張し、核は圧排・偏在する。