解説
口腔粘膜重層扁平上皮に生じる悪性上皮性腫瘍のほとんどが扁平上皮癌である。
扁平上皮癌の多くはde novoではなく、健常な重層扁平上皮から前駆病変ないし前駆状態を経て生じる。
健常→上皮の過形成→上皮性異形成→上皮内癌→浸潤癌
これまで、前癌病変や前癌状態とよばれてきたが、その2つに分けることなく、悪性化の危険性を有する病変を潜在的悪性疾患という。
臨床診断名として以下の2つが代表的疾患である。
病理組織学的には、上皮性異形成の存在とその程度が重要である。
潜在的悪性疾患には以下のものが挙げられている。
潜在的悪性疾患(WHO、2017年)
- 紅板症
- 紅板白板症
- 白板症
- 口腔粘膜下線維症
- 先天性角化不全症
- 咬みタバコ関連角化症
- リバーススモーキングによる口蓋病変
- 慢性カンジダ症
- 扁平苔癬
- 円板状エリテマトーデス
- 梅毒性舌炎
- 光線角化症(口唇)