解説
カンジダ属(主にCandida albicans)による日和見感染として発症する。
臨床事項
- Candida albicans は口腔常在菌で、感染防御機能の低下により生じる。
- 小児や高齢者に多くみられる。
- 口腔乾燥症、義歯の清掃不良や不適合、栄養状態不良、全身疾患、薬物(抗菌薬の長期投与、副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制剤、抗癌剤など)、放射線治療など
- 分類
急性(偽膜性と萎縮性)と慢性(肥厚性と萎縮性)に分けられるが、臨床的には急性偽膜性や慢性肥厚性としてみられる。
①急性偽膜性カンジダ症(鵞口瘡):白斑や偽膜は容易に拭いとることが可能で、白苔除去後に紅斑がみられる。
②慢性肥厚性カンジダ症:不規則な厚さの白板症様の病態を特徴とし、拭いとることは難しく、強く擦過すると微小片が剥離する。 - AIDS患者の口腔病変として重要である。
病理組織所見
- 急性偽膜性カンジダ症:上皮は過形成性で、角質層に菌糸と胞子が侵入し、しばしば上皮内に微小膿瘍が認められる。
- 慢性肥厚性カンジダ症:上皮は錯角化を示し、肥厚する。
- 菌糸は、角質層に対してほぼ垂直に侵入する。
- PAS染色で赤紫色に染まる。
鑑別疾患
白板症、義歯性口内炎
代表画像
急性偽膜性カンジダ症(鵞口瘡)
舌や頰粘膜に白苔が認められる。
慢性肥厚性カンジダ症
頬粘膜に白色、肥厚性の病変がみられる。
急性偽膜性カンジダ症のPAS染色
- ガイド無し
- ガイド有り
粘膜上皮角質層に赤紫色の菌糸や胞子がみられる。菌糸が垂直に侵入している。
粘膜上皮角質層に赤紫色の菌糸(黄矢印)や胞子(白矢印)がみられる。菌糸が垂直に侵入している。
急性偽膜性カンジダ症
- ガイド無し
- ガイド有り
上皮内には菌糸と好中球浸潤による微小膿瘍が認められる。
上皮内には菌糸(黄矢印)と好中球浸潤による微小膿瘍(白矢印)が認められる。
慢性肥厚性カンジダ症
- ガイド無し
- ガイド有り
肥厚した角質層最表層に菌糸と胞子が認められる。
肥厚した角質層最表層に菌糸(黄矢印)と胞子(白矢印)が認められる。