梅毒 Syphilis

口腔粘膜疾患

解説

梅毒トレポネーマによる感染症である。

後天梅毒と母体からの経胎盤性感染による先天梅毒がある。

臨床事項

  • Treponema pallidum の感染により生じる。
  • 後天梅毒
    1. 第1期:感染3週間後に、口腔粘膜に初期硬結、潰瘍形成がみられる。
    2. 第2期:感染3か月後に、口腔粘膜にバラ疹、粘膜斑、粘膜隆起がみられる。
    3. 第3期:感染3年後に、口腔内にゴム腫、増殖性肉芽腫、口蓋穿孔がみられる。
    4. 第4期:感染後10~15年以上で、脊髄癆、脳梅毒などの神経梅毒や心血管梅毒を引き起こす。

病理組織所見

  • 第1期:血管周囲性のリンパ球や形質細胞の浸潤がみられ、潰瘍形成部ではフィブリンの析出と好中球浸潤が認められる。
  • 第2期:血管周囲炎、内皮細胞の増殖が認められる。
  • 第3期:少数の類上皮細胞、炎症性細胞、線維化からなるゴム腫形成がみられ、中心部は乾酪壊死が認められる。
  • 第4期:大動脈の中・外膜内の血管周囲にリンパ球や形質細胞の浸潤がみられ、中膜の弾性線維は断裂・消失、瘢痕化が認められる。

鑑別疾患

口腔結核症

代表画像

第3期梅毒

  • ガイド無し
  • ガイド有り

口蓋穿孔が認められる。

口蓋穿孔(矢印)が認められる。

Warthin-Starry染色

口蓋粘膜の上皮層内には黒色に染まる螺旋状の梅毒トレポネーマ(矢印部)が認められる。