解説
唾液腺・涙腺の2か所以上に、持続性(3か月以上)、対称性の腫脹をきたす慢性炎症性病変である。
IgG4関連疾患といわれる。
臨床事項
- 50~60歳代に好発する。
- 男女比は1:3で、女性に多い。
- 血清検査:抗 Ro/SS-A 抗体(-)、抗 La/SS-B 抗体(-)、抗核抗体(-)、IgG(高値)、IgG4(高値)。
病理組織所見
- リンパ性組織のびまん性増生により腺房は萎縮・消失し、導管上皮には過形成や扁平上皮化生がみられる。
- 進行とともに上皮筋上皮島に類似の充実性上皮胞巣が出現する。
IgG4関連涙腺唾液腺炎(IgG4-Mikulicz病)の診断基準(日本シェーグレン症候群研究会、2008年)
- 涙腺・耳下腺・顎下腺の2ペア以上に、持続性(3か月以上)の対称性の腫脹を認める。
- 血清学的に高IgG4血症(135mg/dL以上)を認める。
- 涙腺、唾液腺組織に著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を認める。
強拡大5視野でIgG4陽性/IgG陽性細胞が50%以上
1+2または1+3を満たすものをIgG4関連涙腺唾液腺炎(IgG4関連Mikulicz病)とする。
全身性IgG4関連疾患の部分症であり、多臓器の病変を伴うことも多い。
代表画像
Mikulicz病
唾液腺腺房の高度な萎縮・消失とリンパ球、形質細胞の高度な浸潤が認められる。
IgG 免疫染色
IgG4 免疫染色
IgG4陽性/IgG陽性細胞が50%程度認められる。