解説
唾液腺組織中(多くは排出導管内、ときに腺体内導管)に結石(唾石)を生じる。
臨床事項
- 唾液排出障害、唾液腺の腫脹や痛み(唾疝痛)が認められる。
- ときにX線検査で偶然発見される。
- 顎下腺の腺体外導管や腺体移行部導管に多くみられる。
- 成人男性に好発する。
- エックス線で導管内ないし腺体内に境界明瞭な不透過像を示す。
病理組織所見
- 唾石は壊死組織や細菌塊を核とした同心円状の層状構造がみられる。
- 唾石を含む排泄導管は拡張し、導管上皮は剥離脱落や扁平上皮化生が認められる。
- 導管周囲は、慢性炎症性細胞浸潤や線維性結合織の増生がみられる。
- 唾石に伴う二次的変化
- 慢性唾液腺炎がみられる。
- 唾石周囲の腺体は慢性炎症性細胞浸潤、線維性結合織の増生や腺房の萎縮・消失が認められる。
代表画像
導管内唾石摘出組織
拡張した排泄導管内には層状の唾石が認められる。
腺体内唾石摘出組織
唾液腺体内に同心同状の層状構造を示す唾石がみられる。
CT像
- ガイド無し
- ガイド有り
左側顎下腺導管内に境界明瞭な類円形不透過像が認められる。
左側顎下腺導管内(黄矢印)に境界明瞭な類円形不透過像(白矢印)が認められる。
顎下腺導管内唾石(脱灰標本)(弱拡大)
拡張した排泄導管内には層状構造をなす唾石が認められ、導管周囲には炎症性細胞浸潤がみられる。
顎下腺導管内唾石(脱灰標本)(中拡大)
- ガイド無し
- ガイド有り
唾石周囲の導管上皮は所により剥離し、導管壁にはリンパ球浸潤が認められる。
層状構造(★)
唾石周囲の導管上皮は所により剥離し、導管壁にはリンパ球浸潤が認められる。
唾石と周囲の唾液腺組織(脱灰標本)
- ガイド無し
- ガイド有り
壊死物質や細菌を核とした層状構造の唾石を含む拡張した排泄導管がみられ、その周囲の腺体組織では腺房の萎縮・消失、線維化やリンパ球浸潤が認められる。
壊死物質や細菌を核とした層状構造の唾石を含む拡張した排泄導管がみられ、その周囲の腺体組織(破線)では腺房の萎縮・消失、線維化やリンパ球浸潤が認められる。
唾石症に伴う慢性唾液腺炎
- ガイド無し
- ガイド有り
腺房は萎縮・消失し、リンパ球浸潤および線維性結合織の増生が認められる。
腺房は萎縮・消失し、リンパ球浸潤(★)および線維性結合織の増生(▲)が認められる。