Sjögren症候群 Sjögren's syndrome

唾液腺の病変

解説

口腔乾燥症、慢性唾液腺炎、乾燥性角膜炎を主徴とする原因不明の自己免疫疾患である。

臨床事項

  • 40歳以上の女性に好発する。
  • 口腔乾燥がみられる。
  • 咀しゃく、嚥下、会話障害が認められる。
  • 義歯装着困難、齲蝕の多発がみられる。
  • 舌痛、味覚異常が認められる。
  • 眼乾燥がみられる。
  • 鼻、咽頭、喉頭、気管、膣乾燥がみられる。
  • 原発性
    唾液腺や涙腺など外分必腺の機能障害による口腔乾燥症状やドライアイ症状だけを示すもの。
  • 続発性
    関節リウマチやSLEなど他の自己免疫疾患に併発するもの。

病理組織所見

  • 腺房細胞の萎縮・消失が認められる。
  • 間質の線維化や脂肪置換がみられる。
  • 導管周囲にリンパ球浸潤がみられる。
  • 不規則な導管拡張や上皮筋上皮島の形成がみられる。

その他

  • 診断には、血清学的検査抗SS-A/RO抗体、抗SS-B/La抗体、唾液分泌量測定(サクソンテスト、ガムテスト)眼科的検査、唾液腺シンチグラフィー、唾液腺造影や口唇の小唾液腺(口唇腺)生検などが行われ、総合的判断でなされる。
  • 近年、慢性硬化性唾液腺炎・IgG4関連疾患との比較検討が多くなされている。

Sjögren 症候群の厚生省改訂診断基準(1999年)

  1. 生検病理組織検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
    A)口唇腺組織で4mm2あたり1focus(導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤)以上
    B)涙腺組織で4mm2あたり1focus(導管周囲に50個以上のリンパ球浸潤)以上
  2. 口腔検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
    A)唾液腺造影でStage1(直径1mm未満の小点状陰影)以上の異常所見
    B)唾液分泌量低下(ガム試験:10ml/10分 以下またはサクソンテスト:2g/2分 以下)があり、かつ唾液腺シンチグラフィーにて機能低下の所見
  3. 眼科検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
    A)Schirmer試験で5mm/5分以下で、かつローズベンガル試験(van Bijsterveld スコア)で3以上
    B)Schirmer試験で5分間に5mm以下で、かつ蛍光色素(フルオレセイン)試験で陽性
  4. 血清検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
    A)抗Ro/SS-A抗体陽性
    B)抗La/SS-B抗体陽性

診断基準

上記4項目のうち、いずれか2項目以上を満たす。

鑑別疾患

  • IgG4関連疾患(ミクリッツ病)
  • 非特異的炎症
  • 加齢的変化
  • ウィルス感染

代表画像

舌と口唇

舌と口唇は乾燥し舌乳頭の萎縮がみられる。

頬粘膜

頬粘膜も乾燥がみられる。

唾液腺造影検査画像

  • ガイド無し
  • ガイド有り

Sjögren症候群

  • ガイド無し
  • ガイド有り

拡張した小葉内導管周囲には著明な巣状のリンパ球浸潤がみられ、腺房の萎縮・消失が認められる。

拡張した小葉内導管周囲には著明な巣状のリンパ球浸潤(矢印)がみられ、腺房の萎縮・消失が認められる。

小葉内導管周囲には著明な巣状リンパ球浸潤がみられ、腺房は萎縮・消失する。

筋上皮島 myoepithelial islandの形成が認められる。