Warthin腫瘍 Warthin tumor

唾液腺の病変

解説

好酸性顆粒状細胞質を有する上皮細胞(オンコサイト)の増殖とリンパ組織性間質からなる腫瘍である。

臨床事項

  • 50歳以上の男性に好発する。
  • 耳下腺に好発。両側発生や多発例もある。
  • 無痛性の境界明瞭な腫瘤を形成する。
  • 99mTcO4-唾液腺シンチグラフィーで集積像を示す。

病理組織所見

  • 線維性被膜により周囲唾液腺組織との境界は明瞭である。
  • 好酸性の上皮細胞とリンパ組織性間質からなる。
  • 上皮の乳頭状増殖がみられる。
  • 上皮細胞は、内腔側に高円柱状細胞、間質側に立方状細胞が2層性に配列する。
  • 上皮細胞は好酸性細顆粒状の細胞質を有する(オンコサイト)。
  • 上皮細胞の胞体内の好酸性顆粒状物はミトコンドリアである。
  • 濾胞形成を伴うリンパ組織性間質がみられる。

鑑別疾患

  • リンパ上皮性囊胞
  • 多形腺腫
  • 囊胞腺腫
  • オンコサイトーマ
  • 腫瘍随伴リンパ球増殖(TALP)を伴う唾液腺腫瘍

代表画像

好酸性細胞質を有する上皮細胞

  • ガイド無し
  • ガイド有り

好酸性細胞質を有する上皮細胞は腺管状や乳頭囊胞状構造を示す。

濾胞形成を伴うリンパ組織性間質がみられる。

好酸性細胞質を有する上皮細胞は腺管状や乳頭囊胞状構造(黄矢印)を示す。

濾胞形成(白矢印)を伴うリンパ組織性間質がみられる。

Warthin腫瘍

  • ガイド無し
  • ガイド有り

好酸性顆粒状物(ミトコンドリア)が充満する細胞質を有する上皮細胞の2層性配列がみられる。

内腔側に高円柱状細胞、外側に立方状細胞が配列する。

高円柱状細胞の核は内腔側に偏在する。

好酸性顆粒状物(ミトコンドリア)が充満する細胞質を有する上皮細胞の2層性配列がみられる。

内腔側に高円柱状細胞(白矢印)、外側に立方状細胞(黄矢印)が配列する。

高円柱状細胞の核は内腔側に偏在する。

抗ミトコンドリア抗体による免疫染色

2層性の上皮細胞はともに陽性を示す。

抗高分子サイトケラチン抗体による免疫染色

2層の上皮細胞のうち外側(基底側)の立方状細胞が陽性を示す。