解説
骨様硬組織形成を伴う線維性結合組織の増生からなる顎骨特有の良性腫瘍である。
非歯原性の腫瘍には、若年性骨梁状骨形成線維腫と若年性砂粒様骨形成線維腫がある。
歯原性の腫瘍には、セメント質骨形成線維腫がある。
ここでは非歯原性の腫瘍についてのみ示す。セメント質骨形成線維腫についてはⅦ章歯原性腫瘍に示す。
臨床事項
若年性骨梁状骨形成線維腫(Juvenile trabecular ossifying fibroma: JTOF)
- 8~10歳代の上顎骨に好発する。
- 急速に増大し、顎骨の膨隆をきたす。
- X線では境界明瞭な透過像の中に不透過像(硬組織形成量に応じて)がみられる。
- 局所侵襲性を示し、切除後の再発率が高い。
若年性砂粒様骨形成線維腫(Juvenile psammomatoid ossifying fibroma: JPOF)
- 10~30歳代の副鼻腔周囲の頭蓋顔面骨に好発する。
- JTOFより発生頻度が高い。
- X線では境界明瞭な透過像の中に不透過像(硬組織形成量に応じて)がみられる。
- 局所侵襲性を示し、切除後の再発率が高い。
病理所見
若年性骨梁状骨形成線維腫(Juvenile trabecular ossifying fibroma: JTOF)
- 線維芽細胞様の紡錘形細胞と膠原線維に富む線維性結合組織内に梁状の未熟骨の形成が認められる。
- 梁状の未熟骨は不規則に分岐し、骨芽細胞の縁取りがみられる。
若年性砂粒様骨形成線維腫(Juvenile psammomatoid ossifying fibroma: JPOF)
- 線維芽細胞様の紡錘形細胞に富む線維性結合組織内に未熟骨と多数の砂粒体様硬組織が認められる。
その他
- 本疾患は、線維性(骨)異形成症、セメント質骨形成線維腫、セメント質骨性異形成症や家族性巨大型セメント質腫などと共に、線維骨性病変(Fibro-osseous lesions)に属する。
鑑別疾患
- 線維性(骨)異形成症
- セメント質骨形成線維腫
- セメント質骨性異形成症
- 根尖性セメント質骨性異形成症
- 限局性セメント質骨性異形成症
- 開花性セメント質骨性異形成症
- 家族性巨大型セメント質腫
代表画像
若年性砂粒様骨形成線維腫(Juvenile psammomatoid ossifying fibroma: JPOF)
紡錘形細胞に富む線維性結合組織内に未熟骨形成と砂粒体様硬組織が認められる。