解説
歯原性の炎症性囊胞で、歯周ポケット形成を伴う炎症性変化により歯根側面や歯頸部付近に生じる。
臨床事項
- 成人では、智歯周囲炎を伴う半埋伏状態の下顎第三大臼歯歯根の頬側ないし遠心面に多く、歯周囊胞、Hofrath囊胞といわれる。
- 小児(6~8歳)では、下顎第一大臼歯に多く、下顎感染性頬部囊胞ともいう。
- 起因歯は生活歯である。
- 原因として歯小囊の側方拡大、含歯性囊胞の亜型、歯周ポケット閉じ込みなどが挙げられる。
- 境界明瞭なX線透過像を示す。
病理組織所見
- 非角化重層扁平上皮で裏装され、上皮下は肉芽組織、外層は線維性結合組織からなる。
- 肉芽組織中には様々な程度の慢性炎症性細胞浸潤が認められる。
代表画像
CT像
半埋伏の下顎右側第三大臼歯の遠心に境界明瞭な透過像がみられる。
炎症性傍側性囊胞
囊胞壁は非角化重層扁平上皮で裏装され、上皮下は肉芽組織と線維性結合組織からなる。
裏装上皮は肉芽組織中に網状や索状をなして増殖する。
非角化重層扁平上皮からなる裏装上皮下にはリンパ球や形質細胞の浸潤が認められる。