解説
血管の増殖からなる病変である。
真性腫瘍や先天的、過誤腫的な病変の総称である。
International Society for the Study of Vascular Anomalies(ISSVA)では、血管異常とされ、血管系腫瘍と血管奇形に大別している。
Mullikenらは、内皮細胞の増殖能に基づき血管腫と血管奇形に区別した。
Sturge-Weber症候群、Klippel-Trenaunay-Weber症候群、Osler-Rendu-Weber症候群、Maffucci症候群やKasabach-Merritt症候群などの場合もある。
臨床的事項
- 小児、若年者に好発する。
- 先天性症例もある。
- 口腔粘膜に好発し、舌、口唇、頰粘膜に多い。
- 暗紫色を呈し、圧迫により縮小し、退色する。
- 大きなものでは顔面の変形をきたす。
- 海綿状血管腫が最も多く、次いで毛細血管腫が多い。
病理組織所見
- 毛細血管腫(Capillary hemangioma)
- 腫瘍性毛細血管の分葉状、胞巣状増殖がみられる。
- 管腔を形成する場合や形成しない内皮細胞の増殖もある。
- 海綿状血管腫(Cavernous hemangioma)
- さまざまな大きさに拡張した管腔を有する血管の増殖がみられ、海綿状をなす。
- 内皮細胞は薄い紡錘形で、壁に平滑筋の増殖はみられない。
- 腔内には血液が充満する。
- 血栓や静脈石を認めることがある。
- 静脈性血管腫(Venous hemangioma)
- 拡張した血管腔からなり海綿状を示す。
- 管腔の壁には不規則に増殖する平滑筋がみられる。
代表画像
口角部付近の血管腫
暗紫色を呈する腫瘤としてみられる。
海綿状血管腫(cavernous hemangioma)(弱拡大)
様々の大きさに拡張した血管腔の増殖がみられ、血管腔内に血栓形成が認められる。
海綿状血管腫(cavernous hemangioma)(中拡大)
- ガイド無し
- ガイド有り
拡張した血管腔内に血栓形成がみられる。
拡張した血管腔内に血栓形成(★)がみられる。
海綿状血管腫(cavernous hemangioma)(強拡大)
HE染色
様々な大きさに拡張する血管は一層の内皮細胞で囲まれる。
CD31免疫染色
様々な大きさに拡張する血管はCD31陽性の一層の内皮細胞で囲まれる。
毛細血管腫(capillary hemangioma)(弱拡大)
管腔形成を伴うものと伴わないものからなる血管内皮細胞が分葉状をなして増殖する。
毛細血管腫(capillary hemangioma)(強拡大)
毛細血管様の管腔形成を伴うものと伴わないものからなる類円形の血管内皮細胞が増殖する。
静脈性血管腫(venous hemangioma)
- ガイド無し
- ガイド有り
拡張した血管腔周囲には不規則に増殖する平滑筋が認められる。
拡張した血管腔周囲には不規則に増殖する平滑筋(黄線内)が認められる。
静脈性血管腫(venous hemangioma)(α-SMA)
海綿状に拡張する血管腔の周囲にはα-SMA陽性の平滑筋が認められる。