解説
唾液腺に著しい線維性組織の増生を伴う炎症性疾患で、腺体部が硬い腫瘤状を呈するものである。
臨床事項
- 青壮年男性顎下線に多くみられる。
- 片側性とされるが、両側性の場合もある。
- 無痛性の硬い腫瘤として認められる。
- Küttner腫瘍といわれるが、真の腫瘍ではない。
- IgG4関連疾患とされる。
病理組織所見
- 腺房の高度な萎縮・消失がみられる。
- 導管周囲、小葉間には線維性結合組織の著しい増生が認められる。
- 導管周囲にはリンパ球や形質細胞を主体とした炎症性細胞浸潤が認められる。
- 導管の拡張や導管周囲には硝子化が認められる。
- 浸潤する多くの形質細胞はIgG4免疫染色で陽性を示す。
代表画像
Küttner腫瘍(弱拡大)
腺房は消失し、形質細胞とリンパ球を主体とした高度な慢性炎症性細胞浸潤がみられ、小葉周辺や導管周囲に著しい線維化が認められる。
Küttner腫瘍(強拡大)
腺房は消失し、導管周囲には形質細胞、リンパ球の浸潤と線維化が認められる。
IgG免疫染色
IgGに陽性を示す形質細胞の浸潤が多数認められる。
IgG4免疫染色
IgG4に陽性を示す形質細胞が多数認められ(10以上/HPF 1視野)、IgG4/IgG陽性細胞は40%以上である。