医療関係者の皆様

組織診、細胞診のための検体採取について(参考)

生検(組織診)や細胞診の実施にご不安がございましたら、最寄りの歯科口腔外科へご相談、または患者様をご紹介下さい。

検体の採取方法や提出方法などについては、検体提出先の大学・施設にご相談・ご確認の上、実施をご検討ください。また、各大学・施設のHPなどもご確認ください。

①組織診

組織診のための検体採取について

歯根嚢胞の摘出例

摘出検体から標本を作製し、診断します(確定診断)。摘出された嚢胞と抜去歯(原因歯)を10%ホルマリン液が入った標本瓶に入れて検査依頼に出します。

白板症の生検例

組織の⼀部を採取して標本を作製し、診断する最も⼀般的に行われる方法で確定診断となります。組織採取部位の決定には肉眼的観察が重要で、正常部分と病変部を含めて採取します。

検体の固定

10%(緩衝)ホルマリン液〔3.7%ホルムアルデヒド液:市販のホルマリン溶液(37%)と精製水を1:9の割合で混ぜたもの〕を⼊れた標本瓶(液漏れのない容器)に切除した組織をいれて固定します。ホルマリンの量は採取した組織の約10倍以上でお願いします。なお、ホルムアルデヒド液(37%)として通常販売されているものは水で10倍に希釈して使用します。

【参考】

厚生労働省は、臓器の⼊る前のホルマリン⼊り容器は「材」と見なされるため、「毒物及び劇物取締法」上の「劇物」にあたり、臓器が⼊った後は「もの」と見なされるため「毒物及び劇物取締法」には相当しないとの見解を出しています。

毒物及び劇物取締法第3条3

毒物又は劇物の販売の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物を販売し、授与し、又はこれらの目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列してはならない。

②細胞診

細胞診のための検体採取について

1. 擦過法と塗抹法

粘膜病変の細胞採取では、採取前に口腔内をよく含嗽および消毒します。口腔粘膜の擦過にはサイトブラシあるいは歯間ブラシを用います。ブラシをスライドグラスに転がすようにして塗抹します。

検体の固定

塗抹後は直ちに95%アルコール固定液に入れて30分以上固定します(湿固定)。細胞固定剤スプレーを使用する場合には、塗抹後直ちに噴霧して静置します。塗抹後の固定までの時間は可能な限り早くすることが原則です。

2. 液状化検体細胞診 (liquid-based cytology:LBC)※

細胞を採取したブラシごと(若しくは先端部分を取り外し)固定液の入った専用容器に浸漬して固定します。

※液状化検体細胞診(LBC):擦過細胞をスライドグラスに直接塗抹する塗抹法に代わって、液状化処理による新しい方法として開発されました。擦過・塗抹法に比べて細胞の回収率が高く、採取したブラシをそのまま固定液に入れるので操作が簡単です。ただし、LBCを行っているかどうかは、関係機関に確認が必要です。